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【2026年・都道府県別】最低賃金引上げがタクシー事業に与える具体的影響|最低賃金を満たすために必要な時間当たりの売上は?

【2026年・都道府県別】最低賃金引上げがタクシー事業に与える具体的影響(第3回)|最低賃金を満たすために必要な時間当たりの売上は?
最終更新:2026年9月3日




※本記事は、最終更新時点で確認できた各都道府県の最低賃金改定状況を基に作成しています。改定後最低賃金額が判明していない都道府県については、答申・決定後に順次追記します。


この記事の結論

令和8年度(2026年度)の地域別最低賃金は、昨年度に続いて全国的に大幅な引上げとなり、タクシー事業の経営やドライバーの賃金にも大きな影響を与えることが見込まれます。

今回は、最低賃金を満たすために必要となる売上額を勤務形態モデルごとに試算し、令和6年度の都道府県別平均日車営収と比較しました。

歩合率45%を前提とした13時間拘束モデルの場合、現時点で13県で、最低賃金を満たすために必要な売上額が平均日車営収額を上回る結果となりました。

また、各都道府県の最低賃金が1,500円となり、日車営収が令和6年度と同じ水準にとどまると仮定した場合、平均日車営収額が必要売上額を下回る地域は、9時間拘束モデルで25県、13時間拘束モデルで39県となりました。

日車営収は、実働1日1車当たりの平均営業収入です。ただし、1車当たりの投入労働時間や、1車に乗務したドライバー数までは示していません。このため、最低賃金を満たすために必要な売上額との比較において、日車営収が必要売上額を下回ったとしても、直ちに最低賃金を下回っていることを意味するものではありません。この比較は、事業者ごとの存続可能性や最低賃金の履行状況を判定するものではなく、都道府県全体として最低賃金引上げの影響を受けやすい地域を把握するための指標であるとご理解ください。


最低賃金引上げでタクシーに必要な売上額も上昇

タクシードライバーの賃金制度では、売上に一定の割合を乗じて賃金を算定する歩合給制度が広く採用されています。このため、最低賃金が引き上げられると、最低賃金を満たすために必要となる時間当たりの売上額や、1勤務当たりの売上額も上昇します。

そこで本稿では、令和8年度の都道府県別改定後最低賃金額を基に、歩合率45%の場合について、最低賃金を満たすために必要となる売上額を試算します。

試算に当たっては、次の二つの勤務モデルを使用します。

🚕労働時間8時間・休憩時間1時間の労働基準法の労働時間の基本原則に沿った「9時間拘束モデル」
🚕労働時間10時間(うち法定時間外労働2時間)・休憩時間3時間の一般的な日勤形態である「13時間拘束モデル」

そのうえで、国土交通省の令和6年度輸送実績報告による実働1日1車当たり営業収入(日車営収)と比較し、地域ごとのタクシー事業の経営、ドライバーの労働時間、タクシーの供給力にどのような影響を与える可能性があるのかを見ていきます。

なお、最低賃金引上げがタクシー事業に影響する構造については、第1回「最低賃金引上げがタクシー業界に与える影響」で詳しく解説しています。


最低賃金を満たすために必要な時間当たり売上額の計算方法

今回の試算では、歩合率を45%としています。
歩合率45%の場合に最低賃金を満たすために必要な時間当たり売上額は、次の式で算出します。

必要な時間当たり売上額=都道府県別最低賃金額÷45%

例えば、最低賃金が1,200円の場合、通常の労働時間1時間当たりに必要な売上額は2,667円です。
1,200円÷45%=2,666.66…円→ 必要な時間当たり売上額2,667円

9時間拘束モデルの必要売上額は、次の式で算出します。

🚕1勤務当たりの最低賃金額=都道府県別最低賃金額×8時間
🚕必要売上額=1勤務当たりの最低賃金額÷45%


13時間拘束モデルでは、10時間の労働時間のうち2時間が法定時間外労働となるため、25%の割増賃金を加えて算出します。

🚕1勤務当たりの最低賃金額=最低賃金額×8時間+最低賃金額×1.25×2時間
🚕必要売上額=1勤務当たりの最低賃金額÷45%


必要売上額については、最低賃金を下回らないよう、1円未満を切り上げています。


試算結果を見る際の重要な注意点

本稿で算出する「必要売上額」は、歩合率45%の場合に、ドライバーに最低賃金以上の賃金を支払うために最低限必要となる売上額です。

タクシー事業者は、売上のうちドライバーに賃金として分配する部分以外から、燃料費、車両の購入・リース費用、整備費、保険料、配車・運行管理費、営業所の維持費などを負担する必要があります。

したがって、本稿の必要売上額を確保できたとしても、それだけで事業を持続するために必要な収入を確保できることを意味するものではありません。実際に必要となる売上額は、各事業者の費用構造や賃金制度などによって、本稿の試算額を上回ることが一般的です。

また、最低賃金額との比較対象としては、総売上額をドライバーの総実労働時間で除した時間当たり売上額とすることが妥当ですが、今のところ、都道府県別に比較できる統一的なデータはありません。このため、本稿では、令和6年度の都道府県別平均日車営収を参考指標として使用します。

日車営収は、実働1日1車当たりの平均営業収入です。ただし、1車当たりの投入労働時間や、1車に乗務したドライバー数までは示していません。このため、最低賃金を満たすために必要な売上額との比較において、日車営収が必要売上額を下回ったとしても、直ちに最低賃金を下回っていることを意味するものではありません。この比較は、事業者ごとの存続可能性や最低賃金の履行状況を判定するものではなく、都道府県全体として最低賃金引上げの影響を受けやすい地域を把握するための指標であるとご理解ください。


9時間拘束モデルの都道府県別必要売上額

まず、労働時間8時間・休憩時間1時間の9時間拘束モデルについて、令和8年度の改定後最低賃金額を基に、最低賃金を満たすために必要な1勤務当たりの売上額を試算します。

表1 9時間拘束モデルにおける必要売上額と令和6年度の日車営収との比較

都道府県名 改定後最低賃金額 1勤務当たりの
最低賃金額
歩合率45%で
必要な売上額
令和6年度の日車営収 日車営収との差額
北海道 1,131円 9,048円 20,107円 35,916円 +15,809円
青森 1,090円 8,720円 19,378円 24,369円 +4,991円
岩手 1,090円 8,720円 19,378円 21,567円 +2,189円
宮城 1,098円 8,784円 19,520円 24,531円 +5,011円
秋田 1,090円 8,720円 19,378円 22,482円 +3,104円
山形 1,092円 8,736円 19,414円 19,254円 +160円
福島 1,094円 8,752円 19,449円 22,440円 +2,991円
茨城 1,136円 9,088円 20,196円 28,281円 +8,085円
栃木 1,125円 9,000円 20,000円 30,343円 +10,343円
群馬 1,120円 8,960円 19,912円 28,328円 +8,416円
埼玉 1,196円 9,568円 21,263円 42,445円 +21,182円
千葉 1,195円 9,560円 21,245円 40,341円 +19,096円
東京 1,280円 10,240円 22,756円 60,128円 +37,372円
神奈川 1,279円 10,232円 22,738円 45,837円 +23,099円
新潟 1,108円 8,864円 19,698円 24,874円 +5,176円
富山 1,119円 8,952円 19,894円 26,427円 +6,533円
石川 1,113円 8,904円 19,787円 30,482円 +10,695円
福井 1,112円 8,896円 19,769円 27,911円 +8,142円
山梨 1,131円 8,904円 19,787円 30,287円 +10,500円
長野 1,117円 8,936円 19,858円 26,355円 +6,497円
岐阜 1,121円 8,968円 19,929円 24,896円 +4,967円
静岡 1,154円 9,232円 20,516円 28,432円 +7,916円
愛知 1,195円 9,560円 21,245円 36,542円 +15,297円
三重 1,143円 9,144円 20,320円 27,241円 +6,921円
滋賀 1,136円 9,088円 20,196円 25,115円 +4,919円
京都 1,180円 9,440円 20,978円 33,820円 +12,842円
大阪 1,231円 9,848円 21,885円 38,936円 +17,051円
兵庫 1,172円 9,376円 20,836円 32,894円 +12,058円
奈良 1,107円 8,856円 19,680円 29,780円 +10,100円
和歌山 1,101円 8,808円 19,574円 21,538円 +1,964円
鳥取 1,090円 8,720円 19,378円 24,298円 +4,920円
島根 1,092円 8,736円 19,414円 22,133円 +2,719円
岡山 1,104円 8,832円 19,627円 26,114円 +6,487円
広島 1,141円 9,128円 20,285円 27,421円 +7,136円
山口 1,101円 8,808円 19,574円 22,907円 +3,333円
徳島 1,103円 8,824円 19,609円 19,660円 +51円
香川 1,092円 8,736円 19,414円 23,603円 +4,189円
愛媛 1,093円 8,744円 19,432円 23,580円 +4,148円
高知 1,086円 8,688円 19,307円 25,584円 +6,277円
福岡 1,114円 8,912円 19,805円 33,060円 +13,255円
佐賀 1,095円 8,760円 19,467円 22,005円 +2,538円
長崎 1,087円 8,696円 19,325円 28,762円 +9,437円
熊本 1,092円 8,736円 19,414円 24,403円 +4,989円
大分 1,096円 8,768円 19,485円 22,072円 +2,587円
宮崎 1,085円 8,680円 19,289円 20,724円 +1,435円
鹿児島 1,090円 8,720円 19,378円 22,217円 +2,839円
沖縄 1,086円 8,688円 19,307円 35,328円 +16,021円

9時間拘束モデルでは、現時点で改定後の最低賃金額が明らかになっている地域ではいずれも令和6年度の日車営収が必要売上額を上回っていますが、徳島、山形、和歌山、島根、福島、秋田など、日車営収と必要売上額との差が比較的小さい地域もあります。


13時間拘束モデルの都道府県別必要売上額

次に、労働時間10時間(うち法定時間外労働2時間)・休憩時間3時間の13時間拘束モデルについて試算します。
法定時間外労働となる2時間については、25%の割増賃金を加えて、最低賃金を満たすために必要な売上額を算出しています。

表2 13時間拘束モデルにおける必要売上額と令和6年度の日車営収との比較

都道府県名 改定後最低賃金額 1勤務当たりの
最低賃金額
歩合率45%で
必要な売上額
令和6年度の日車営収 日車営収との差額
北海道 1,131円 11,875.5円 26,390円 35,916円 +9,526円
青森 1,090円 11,445円 25,434円 24,369円 ▲1,065円
岩手 1,090円 11,445円 25,434円 21,567円 ▲3,867円
宮城 1,098円 11,529円 25,620円 24,531円 ▲1,089円
秋田 1,090円 11,445円 25,434円 22,482円 ▲2,952円
山形 1,092円 11,466円 25,480円 19,254円 ▲6,226円
福島 1,094円 11,487円 25,527円 22,440円 ▲3,087円
茨城 1,136円 11,928円 26,507円 28,281円 +1,774円
栃木 1,125円 11,812.5円 26,250円 30,343円 +4,093円
群馬 1,120円 11,760円 26,134円 28,328円 +2,194円
埼玉 1,196円 12,558円 27,907円 42,445円 +14,538円
千葉 1,195円 12,547.5円 27,884円 40,341円 +12,457円
東京 1,280円 13,440円 29,867円 60,128円 +30,261円
神奈川 1,279円 13,429.5円 29,844円 45,837円 +15,993円
新潟 1,108円 11,634円 25,854円 24,874円 ▲980円
富山 1,119円 11,749.5円 26,110円 26,427円 +317円
石川 1,113円 11,686.5円 25,970円 30,482円 +4,512円
福井 1,112円 11,676円 25,947円 27,911円 +1,964円
山梨 1,113円 11,686.5円 25,970円 30,287円 +4,317円
長野 1,117円 11,728.5円 26,064円 26,355円 +291円
岐阜 1,121円 11,770.5円 26,157円 24,896円 ▲1,261円
静岡 1,154円 12,117円 26,927円 28,432円 +1,505円
愛知 1,195円 12,547.5円 27,884円 36,542円 +8,658円
三重 1,143円 12,001.5円 26,670円 27,241円 +571円
滋賀 1,136円 11,928円 26,507円 25,115円 ▲1,392円
京都 1,180円 12,390円 27,534円 33,820円 +6,286円
大阪 1,231円 12,925.5円 28,724円 38,936円 +10,212円
兵庫 1,172円 12,306円 27,347円 32,894円 +5,547円
奈良 1,107円 11,623.5円 25,830円 29,780円 +3,950円
和歌山 1,101円 11,560.5円 25,690円 21,538円 ▲4,152円
鳥取 1,090円 11,445円 25,434円 24,298円 ▲1,136円
島根 1,092円 11,466円 25,480円 22,133円 ▲3,347円
岡山 1,104円 11,592円 25,760円 26,114円 +354円
広島 1,141円 11,980.5円 26,624円 27,421円 +797円
山口 1,101円 11,560.5円 25,690円 22,907円 ▲2,783円
徳島 1,103円 11,581.5円 25,737円 19,660円 ▲6,077円
香川 1,092円 11,466円 25,480円 23,603円 ▲1,877円
愛媛 1,093円 11,476.5円 25,504円 23,580円 ▲1,924円
高知 1,086円 11,403円 25,340円 25,584円 +244円
福岡 1,114円 11,697円 25,994円 33,060円 +7,066円
佐賀 1,095円 11,497.5円 25,550円 22,005円 ▲3,545円
長崎 1,087円 11,413.5円 25,364円 28,762円 +3,398円
熊本 1,092円 11,466円 25,480円 24,403円 ▲1,077円
大分 1,096円 11,508円 25,574円 22,072円 ▲3,502円
宮崎 1,085円 11,392.5円 25,317円 20,724円 ▲4,593円
鹿児島 1,090円 11,445円 25,434円 22,217円 ▲3,217円
沖縄 1,086円 11,403円 25,340円 35,328円 +9,988円

13時間拘束モデルでは、平均日車営収が、最低賃金を満たすために必要な売上額を下回る地域が既に複数みられます。

現時点では、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、岐阜、滋賀、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、佐賀、熊本、大分、宮崎及び鹿児島の21県で、平均日車営収が必要売上額を下回っています。また、富山、長野、三重、岡山、広島及び高知についても、必要売上額との差は1,000円未満となっています。
これらの地域では、従来の歩合率と労働時間を維持しようとすれば、歩合給だけでは不足する最低賃金との差額を事業者が負担することになり、事業者に残る収入が減少します。

売上水準や賃金制度が変わらないまま、事業者による追加負担も行わないとすれば、最低賃金を満たすために労働時間を短縮する選択肢を取らざるを得ません。

このように、最低賃金を満たすために必要な売上額を確保できず、売上水準や賃金制度も変わらない場合には、13時間拘束モデルを維持できずタクシー供給力の低下を招くか、事業者が不足額を補塡して13時間拘束モデルを維持することにより経営余力の低下を招くかという厳しい問題が生じます。


各都道府県の最低賃金が1,500円となった場合

次に、各都道府県の最低賃金が1,500円となった場合について、令和6年度の日車営収が変わらないと仮定し、9時間拘束モデルと13時間拘束モデルにおける影響を試算します。
これは、政府目標の「全国平均1,500円」をそのまま再現したものでも、将来の日車営収を予測したものでもありません。各都道府県の最低賃金がそれぞれ1,500円に達し、日車営収が令和6年度と同じ水準にとどまった場合に、タクシー事業へどのような影響が生じ得るのかを確認するための仮定計算です。

※政府目標の「全国平均1,500円」は、すべての都道府県の最低賃金が一律に1,500円となることを意味するものではありません。本稿の表3は、影響の大きさを分かりやすく示すため、各都道府県の最低賃金が一律に1,500円となった場合を仮定した試算です。

最低賃金1,500円、歩合率45%の場合、通常の労働時間1時間当たりに必要な売上額は3,334円です。法定時間外労働1時間当たりでは、25%の割増賃金を含め、4,167円の売上が必要になります。

歩合率45%の場合、最低賃金を満たすために必要な1勤務当たりの売上額は、次のとおりです。

🚕9時間拘束モデル:26,667円
🚕13時間拘束モデル:35,000円

表3 最低賃金1,500円の場合に必要な売上額と令和6年度の日車営収との比較

都道府県名 令和6年度の日車営収 9時間拘束モデルの
必要売上額
日車営収との差額 13時間拘束モデルの
必要売上額
日車営収との差額
北海道 35,916円 26,667円 +9,249円 35,000円 +916円
青森 24,369円 26,667円 ▲2,298円 35,000円 ▲10,631円
岩手 21,567円 26,667円 ▲5,100円 35,000円 ▲13,433円
宮城 24,531円 26,667円 ▲2,136円 35,000円 ▲10,469円
秋田 22,482円 26,667円 ▲4,185円 35,000円 ▲12,518円
山形 19,254円 26,667円 ▲7,413円 35,000円 ▲15,746円
福島 22,440円 26,667円 ▲4,227円 35,000円 ▲12,560円
茨城 28,281円 26,667円 +1,614円 35,000円 ▲6,719円
栃木 30,343円 26,667円 +3,676円 35,000円 ▲4,657円
群馬 28,328円 26,667円 +1,661円 35,000円 ▲6,672円
埼玉 42,445円 26,667円 +15,778円 35,000円 +7,445円
千葉 40,341円 26,667円 +13,674円 35,000円 +5,341円
東京 60,128円 26,667円 +33,461円 35,000円 +25,128円
神奈川 45,837円 26,667円 +19,170円 35,000円 +10,837円
新潟 24,874円 26,667円 ▲1,793円 35,000円 ▲10,126円
富山 26,427円 26,667円 ▲240円 35,000円 ▲8,573円
石川 30,482円 26,667円 +3,815円 35,000円 ▲4,518円
福井 27,911円 26,667円 +1,244円 35,000円 ▲7,089円
山梨 30,287円 26,667円 +3,620円 35,000円 ▲4,713円
長野 26,355円 26,667円 ▲312円 35,000円 ▲8,645円
岐阜 24,896円 26,667円 ▲1,771円 35,000円 ▲10,104円
静岡 28,432円 26,667円 +1,765円 35,000円 ▲6,568円
愛知 36,542円 26,667円 +9,875円 35,000円 +1,542円
三重 27,241円 26,667円 +574円 35,000円 ▲7,759円
滋賀 25,115円 26,667円 ▲1,552円 35,000円 ▲9,885円
京都 33,820円 26,667円 +7,153円 35,000円 ▲1,180円
大阪 38,936円 26,667円 +12,269円 35,000円 +3,936円
兵庫 32,894円 26,667円 +6,227円 35,000円 ▲2,106円
奈良 29,780円 26,667円 +3,113円 35,000円 ▲5,220円
和歌山 21,538円 26,667円 ▲5,129円 35,000円 ▲13,462円
鳥取 24,298円 26,667円 ▲2,369円 35,000円 ▲10,702円
島根 22,133円 26,667円 ▲4,534円 35,000円 ▲12,867円
岡山 26,114円 26,667円 ▲553円 35,000円 ▲8,886円
広島 27,421円 26,667円 +754円 35,000円 ▲7,579円
山口 22,907円 26,667円 ▲3,760円 35,000円 ▲12,093円
徳島 19,660円 26,667円 ▲7,007円 35,000円 ▲15,340円
香川 23,603円 26,667円 ▲3,064円 35,000円 ▲11,397円
愛媛 23,580円 26,667円 ▲3,087円 35,000円 ▲11,420円
高知 25,584円 26,667円 ▲1,083円 35,000円 ▲9,416円
福岡 33,060円 26,667円 +6,393円 35,000円 ▲1,940円
佐賀 22,005円 26,667円 ▲4,662円 35,000円 ▲12,995円
長崎 28,762円 26,667円 +2,095円 35,000円 ▲6,238円
熊本 24,403円 26,667円 ▲2,264円 35,000円 ▲10,597円
大分 22,072円 26,667円 ▲4,595円 35,000円 ▲12,928円
宮崎 20,724円 26,667円 ▲5,943円 35,000円 ▲14,276円
鹿児島 22,217円 26,667円 ▲4,450円 35,000円 ▲12,783円
沖縄 35,328円 26,667円 +8,661円 35,000円 +328円
全国 37,864円 26,667円 +11,197円 35,000円 +2,864円

各都道府県の最低賃金が1,500円となり、平均日車営収が令和6年度と同じ水準にとどまると仮定した場合、13時間拘束モデルの必要売上額を下回る地域は39県に達します。

この結果は、39県のすべての事業者が13時間拘束・10時間労働を維持できなくなることを意味するものではありません。しかし、現在の平均日車営収と同じ売上水準のままでは、売上水準の低い事業者や車両を中心に、この勤務モデルの維持が困難になる可能性があります。

また、9時間拘束モデルについても、25県の日車営収が必要売上額を下回ります。売上水準が特に低い地域では、法定労働時間内の8時間労働であっても、事業者の経営に必要な収入を確保しながら最低賃金を支払うことが難しくなる可能性があります。

もっとも、この試算は、各都道府県の最低賃金が1,500円となった時点でも、日車営収が令和6年度と変わらないことを前提としたものです。将来、運賃改定や需要の増加、生産性向上などによって日車営収が増加すれば、結果は変わります。

一方で、最低賃金の引上げに見合うだけの日車営収の増加が実現しなければ、多くの地域で労働時間の短縮又は事業者収入の減少を迫られる可能性があることを、この試算は示しています。


最低賃金引上げとタクシー供給力をどう両立させるか

このように、最低賃金の引上げは、タクシー事業の人件費負担だけでなく、ドライバーの労働時間、事業者の経営余力、さらには地域のタクシー供給力にも大きな影響を及ぼします。
特に売上水準の低い地域では、事業者に残る収入を維持しようとすれば、最低賃金を満たすために労働時間を短縮せざるを得ず、従来の労働時間を維持しようとすれば、最低賃金との差額を事業者が負担することにより、経営余力が低下します。

労働時間が短縮されれば、タクシーが営業できる時間も短くなり、地域のタクシー供給力が低下する可能性があります。一方、事業者に残る収入が減少すれば、燃料費、車両費、整備費、保険料などを負担しながら事業を維持することが難しくなります。

最低賃金の引上げと、タクシー事業の持続可能性、そして地域住民の移動手段の確保をどのように両立させていくのか。
タクシー事業者による生産性向上の取組については、第2回「最低賃金引上げに必要な生産性向上とは」で、DX、需要分析、既存需要の取りこぼし防止、ドライバーへのフィードバックなどを詳しく検討しました。

次回は、引き続き、タクシー事業者としてどのような取組を行っていくことが妥当なのかという点や、行政における交通空白の解消に関する様々な支援の必要性等について検討します。


最低賃金とタクシー売上に関するよくある質問

最低賃金を満たすために必要な時間当たり売上額は?
歩合率45%の場合、必要な時間当たり売上額は「最低賃金額÷45%」で算出します。例えば最低賃金1,200円の場合は2,667円、最低賃金1,500円の場合は3,334円の売上が必要です。

最低賃金1,500円の場合、9時間拘束モデルで必要な売上額はいくらですか?
労働時間8時間・休憩時間1時間、歩合率45%の場合、最低賃金を満たすために必要な1勤務当たりの売上額は26,667円です。

最低賃金1,500円の場合、13時間拘束モデルで必要な売上額はいくらですか?
労働時間10時間(うち法定時間外労働2時間)・休憩時間3時間、歩合率45%の場合、最低賃金を満たすために必要な1勤務当たりの売上額は35,000円です。

日車営収との差額がマイナスの地域では、すべての事業者が最低賃金を確保できないのですか?
いいえ。比較対象の日車営収は都道府県ごとの平均値であり、個々の事業者や車両の売上水準には差があります。この表は、個々の事業者の存続可能性や最低賃金の履行状況を判定するものではなく、最低賃金引上げの影響を受けやすい地域を把握するための指標です。


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参考資料

🚕厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
🚕国土交通省「令和6年度輸送実績報告」
🚕各都道府県労働局・地方最低賃金審議会公表資料
 
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■ 執筆者

久富 康生
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会 常務理事(元長野労働局長)

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